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対岸の彼女 | 2007.10.24 Wednesday |
年代が近い作家さんに、私はちょっとシビアなのですが
今回、ちょっと参った、というかんじです。

仕事をしている女の人の閉塞感とか焦りとか
そういうのは最近よく読んでいて
共感できる部分も多いんですが、
主婦の世界って、私の中で完全な本の中の世界。
でも、想像では私はその世界でも、うまくできるような気がしておりましたが
この本でリアルに主婦、難しいわ!と思った。

人とのつながり方、
特に女の世界って、かなり独特。
うまく中に溶け込まないと、厳しい。
そのうまくいえない難しいところを
上手に描いていると思う。
主婦に限らず、仕事をしている人にも限らず
人と人との関係性を2人の対比と、過去と現在の対比によって
絶妙に書き出しています。

これは、ぞっとするホラーでもあるし
ハートフルな人間ドラマでもある。
つい夢中で読んでしまいました。
| 角田光代 | 22:58 |
別れの後の静かな午後 | 2007.10.24 Wednesday |
言い回しがちょっとキザ。
中には陳腐な話もありました。
でも、これからが楽しみな作家さんでもあります。

最初に読んだのはパイロットフィッシュ。
こないだ、将棋の子を読んで
そしてこの本。
瑞々しい言葉の選び方がいい。

多少自分によっているところがあって
そこは、表現と自己満足のぎりぎりのラインで
自己満足に傾いている感じ。
もうすこししたら、がらっと作風が変わって
すごく好きな作家になりそう。

最後の短編がよかったです。
できすぎなんだけどねー。
謎解きが面白かった。
発想が「お」という感じ。
あと、離婚寸前の夫婦の話もよかったな。
心がぽっとあったまる。
いや、でもそんなことあるかい!と
突っ込みたくなるけどね。

もうちょっとリアリティを出すか
それか思いっきりファンタジーにしちゃうか
それで変わると思う。

楽しみー
| 大崎善生 | 22:38 |
クワイエットルームにようこそ | 2007.09.02 Sunday |
劇団大人計画の松尾スズキ小説。この人のエッセイを昔読んだのですが、あまり文体が好きではなく、ただ「オーバードーズ」がテーマだと知って、買いました。最近、興味あるんです、オーバードーズ。病院で処方される薬を飲みすぎて死んだり、麻薬のように依存したりすることだと最近テレビのドキュメンタリーで知ったのですが、タイムリーに「オーバードーズ」。即、購入でした。

が、意外や意外。面白かった。オーバードーズがテーマと思いましたが、実は精神病棟の実態というか、その中の人とか、主人公の愛とか仕事とか生きるとか死ぬとかの葛藤がテーマでした。私は幸せに生きてきて、本当の意味で死ぬほどつらいと思ったことは多分、ない。現実逃避はしたくなるけど、薬に逃げなくっても本とか映画とかで十分だし、多分心から幸せな人生なのだと思う。

だから、精神病棟の人や、主人公は違う人種だと、そう思って読んだけど、「私、うざったい?」と恋人に聞いて自立しようとする主人公は、等身大で、私も一歩精神のバランスを崩すとすぐに負の感情にひきずられて死と生をさまようのかもしれないとぞっとした。

そんなことを考えさせられた。いや、文章もよくって、面白かったです。これを松尾スズキ演出で演劇であるらしい。ちょっと見てみたい。
| 松尾スズキ | 12:39 |
裁判長!これで執行猶予は甘くないすか | 2007.06.17 Sunday |
『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』の2作目。
『懲役4年〜』がヒットして、裁判傍聴ブームがじわじわと到来していますね。
今月号のダヴィンチでも、特集されていました。

でも、この作品を読むと、ホント、見に行きたくなります。
そういうドラマがあるのか!とか、
裁判って、法律知らなくても見れるんだ!とか。
法学部の癖に、一回も傍聴に行ったことがないんですよね。

裁判長のやる気、とか、弁護士がやり手・作戦、とか、
傍聴席の人の数によっても変わる、というそのドラマ。

トロさんの切り口や、見方がまた上手くって。
今回は、他の傍聴マニアのコメントも載っていて
満足度大。読むべし、読むべし。
| 北尾トロ | 23:48 |
イニシエーション・ラブ | 2007.06.17 Sunday |
帯の宣伝文句が
『評判通りの仰天作。
必ず二回読みたくなる小説など
そうそうあるものじゃない。』
−−読売新聞書評(2004年12月21日)より

そういうのって、大概裏切られるんですが、
これは、2回読んでしまいました。
だって最後の2行で、うわあ!となるんですよ。

話の筋としては、もう、なんか、ベタベタの恋愛小説で
ありきたりなんですけどね。
最後の2行で、まったく違う物語が現れるのですよ。
2回目は、ああ、そうだったのか!と腑に落ちる。

面白い!最高!感動!という小説ではありませんが、
意外性抜群。いちどは読んでほしい作品です。
| 乾くるみ | 23:26 |
沖で待つ | 2007.06.12 Tuesday |
芥川賞受賞作。
するりと読めます。

短編が2つ入っていまして「沖で待つ」と「勤労感謝の日」

『沖で待つ』は
福岡が舞台で、個人的にはとても好き。
大博通り、なんていう身近な単語が嬉しい。
一言でいえば、同期との友情物語。
最後の『沖で待つ』という言葉が出てこなければ陳腐なお話になっていた気がする。
この言葉で、すごーーく深みのある作品に仕上がっています。
同期との関係って、こんなにも爽やか?
数年後読むと、また感想が変わるかも。

『勤労感謝の日』は転職活動の中で
女って、仕事って、と定番のスパイラルに入り込みながらも
「ま、がんばるか。やるしかねーか!」と
いつもの結論に行き着く話。
そのさりげなさ、ちょっとした痛み、大袈裟でない日常性がうまく描かれている。

ま、でも絲山秋子を読むなら
「イッツオンリートーク」「海の仙人」の方がオススメではあります。
| 絲山 秋子 | 00:48 |
真鶴 | 2007.06.12 Tuesday |
評価:
川上 弘美
文藝春秋
川上弘美が本気出して書いた!という気がしました。
真骨頂。
まさに名作。
こんなに濃く、強く、揺さぶられる作品は久々です。

読むのではなく、見て感じるような文章で
ダイレクトに頭の中に文字が沁み込んでいく。

日常にと非日常のあいなかを、たゆたう主人公の話です。
主人公の夫は昔失踪し、今は娘と実家の母と3人で暮らしている。
恋人は、妻も子供もいる、編集者。
あまり動きのない静かな日常のなかに、するりとはいりこむ、なにかがいる。
憑くもの。
その憑くものにいざなわれて?真鶴に旅に出る。
すると主人公はそこから離れられなくなり、
夫の失踪と自分の心と深く深く向き合っていく・・・

あらすじを敢えていうならば、そういう話ですが。

なによりもやっぱり文章が圧倒的。
こういう、非現実的なところに入る物語って
大概わけわからなくて途中で投げ出すのに
文章のちからに、引き寄せられて、もう、降参。
最後までうっとりと読んでしまった。

音楽のような、映画のような、それでいて、文章。
なんだかもう、ぽわーっと言葉によってしまう
そんな本です。

| 川上弘美 | 00:33 |
ブラフマンの埋葬 | 2007.05.13 Sunday |
ブラフマンって何だろう。その答えは最後まで明かされない。
森に住む生物。野生の動物。本来は飼ってはならないきまり。

面倒を見るものができると、人間は強くなる。
そして、安らかになれる。
自分の存在意義ができる。

ブラフマンは全身全霊で主人公を愛し、頼り、唯一のものとして生きる。
そのブラフマンに癒される主人公。
一方で、報われない恋をする。ただ、黙って見つめるだけの恋。
少女はいつも、主人公の方は見ていない。
遠くの人を想って待っている。

ラストは、本当にせつない。
淡々と語る口調が、そのやりきれない想いを表現している。
何かを得ようとすると、何かを失って、そして後悔する。
誇張せず、変に固すぎもせず、ありのままにあったことを語るスタンス。
叫びだしたいような、苦しい、どろどろとした激しい感情を乗り越えた、
悔恨や、喜びや、哀しみがひしひしと伝わってくる。

こういう文章がかけたらいいなぁと思う。
| - | 23:06 |
はじまりの空 | 2007.04.22 Sunday |
透明感のある文章が、オススメの作品。高校生が、姉の結婚相手のお兄さんに恋をするというストーリー。

昨今の高校生が主役の作品は、ハードボイルドというか、ちょっとすれっからしっぽかったり、やたら頭が良かったりするものが多い中(私の読んでる作品が偏ってるのか?)、この作品の主人公は、かわいい!背伸びしようとしつつ、自分が子供であることを思い知り、悩み、そして戦う。高校の頃って、こうだったよ!うん!とせつなくなること間違いなし、です。

お兄さんが30代前半というのも、ポイントです。30代前半なのに、大学生に見える大人。そういう人、いるいる!彼が、主人公に対して、一定の距離をおきながらも可愛く思っていること、自制していることが、主人公の目を通して綴られています。主人公は気がついていないけれど、その行動にやさしさが溢れていて、涙がでそうになる。

二人の距離感の描き方が絶妙で、あなどれません。多少、まわりくどい比喩もでてきますが、自己陶酔系ではなく、その場その場の雰囲気や主人公の気持ちを丁寧に描こうとされているものなので、心地よく読めると思います。オススメの作品です。
| 楡井 亜木子 | 21:39 |
チーム・バチスタの栄光 | 2007.04.21 Saturday |
このミス大賞の本。
ずっと気になっていた話題の本ですが、ここ何回かこのミス大賞には何度か期待して裏切られてきたので、読むのが遅れてしまいました。

が!
面白かったです。主人公が、アウトローチックな人で、この人が思いもかけない方法で事件を解決していくのだろう、と思いきや!
意外と凡庸な普通の人だった。
途中で、ぶっとんだキャラクターが出てきて、そこから面白いの何の。
続きもぜひとも読みたいところです。

内容としては医療機関の抱える組織的な矛盾などをついていて
それだけでも読ませる本です。
が、魅力的なキャラクターのおかげで、固くならず読んでいけます。
バチスタについては、漫画の『医龍』を読んでいたので、すんなり入っていけました。
続編も読みたいものです。
| 海堂 尊 | 12:51 |